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長崎県美術館

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出品履歴

( 1965年)

Night 作品詳細

鴨居玲 Rei KAMOI
作品解説
  本作品は昭和40年(1965年)の作品である。この年の4月より鴨居は単身、ブラジルへと渡り年末まで過ごしているが、本作品がブラジルで描かれたものなのか、あるいは日本を経つ以前の作品なのかは定かではない。本作品は老人を正面観でとらえた作品であるが、昭和36年と昭和39年に同構図の類似作品が制作されている。この時期鴨居はスランプに陥っていたのは確かなようである。日本の美術界、特に関西においては、吉原治良らを中心とした具体美術協会など、抽象運動が盛り上がっていた時代であり、鴨居もそうした風潮から、昭和37年頃《月と魚》《蠢(B)》(ともに昭和37年制作)など、抽象画に活路を見出そうとしていた。実際にそれらの作品は賞を獲得するなど世間に認められつつあったのであるが、その年の内に画家は抽象画に見切りをつけたようである。つまり鴨居はこの時期、いまだ自分自身が納得できる画風を打ち立てられずにいたのである。こうした抽象への傾倒期をはさんで、本作品を含めた類似作品が3点も描かれたというのは大変興味深い。昭和39年、40年の2作品はおそらく、36年に描いた作品を自分の中でとらえなおそうとした作品ではないだろうか。つまり抽象への傾倒期に感じていた画家としての自らの座りの悪さから、今一度具象への道を進むことを自らの中で再確認する意味での作品だったのではないだろうか。

 
展覧会名 会期 会場
没後35年 鴨居玲展 20/09/12 ~ 20/12/06 久留米市美術館
没後35年 鴨居玲展 20/07/31 ~ 20/08/31 石川県立美術館
没後35年 鴨居玲展 20/05/14 ~ 20/06/07 美術館「えき」KYOTO

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