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私の話を聞いてくれ ( 1973(昭和48)年)

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鴨居玲 Rei KAMOI
作品解説
  スペインのラ・マンチャ地方の街バルデペーニャスでの滞在中に手がけられた作品。鴨居の画業の中で最も充実していた時代の作品である。
この時期、鴨居は老人や酔っ払いなどをモティーフにした作品を数多く手がけている。《私の村の酔っ払い(A)》(笠間日動美術館)、《廃兵》(長崎県美術館)や本作品など、鴨居の代表作にあげられるこれらの作品は、まさしくバルデペーニャスの村人たちとの交流を通して生まれたものである。鴨居はこの街で村人たちと生活を共にしながら、鋭い人間観察をもとに創作の源泉を求めていった。
腰を曲げ右手を前にかざした横向きの老人は、悲痛な叫びをあげているように見える。白い空虚な背景に佇む老人の様子からは、拭い去ることのできない孤独感が浮き彫りにされているかのようだ。
鴨居はこうした老人や酔っ払いを描きながらも、彼らのなかに自らとの共通点を見出している。そして鴨居はこの老人に自己を投影し自らの「分身」を作り出すことによって、「私の話を聞いてくれ」という老人の叫びを自分のものへとすり変えているのである。
また鴨居は当時の自身の作品を評して、「リベラと出会ったことで」「絵が真黒くなりました」と語っている。リベラとはスペイン・バロックの巨匠フセペ・デ・リベーラのことで、カラヴァッジョの明暗法を学び、闇の中から浮かび上がるような人物画を得意とした画家である。鴨居はスペイン滞在中にプラド美術館に何度も通い、リベラの作品から多くを学んだ。強い光によって際立つ老人の禿げ上がった頭部の表現に特に興味を持ち、自身の作品にもそれを取り込もうと試みている。本作品もその一つといえよう。
 
作品詳細
素材・技法 油彩・カンヴァス
素材・技法(英文) Oil on canvas
サイズ 100×80.5cm
コレクション名  
備考  
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