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光る道 /「有明海シリーズ」より ( 1985(昭和60)年)

Gleaming Road From the Ariake Sea Series 出品履歴

牧野宗則 Munenori MAKINO
作品解説
  「有明海」シリーズは、牧野が1984年9月に諫早を訪れた際に有明海と出会ったことで生まれた。「(有明海は)風景版画家として最も大切な時期に自然の深奥を感じとる力と大切さを知らせてくれた」と自ら語るとおり、この出会いは彼の画業の転機となった。
 「それまで私の見知っている海とは郷里の駿河湾のように、水のきれいに澄んださわやかな海でした。ところが初めて眺めた有明海は、正反対に一面泥色に濁っていて、およそ泳ぎたくなるような海とはかけはなれていました。しかし毎日眺めているうちに、その表情の豊かさに気づき始めたのです。まだ夜が明ける前は、まるですべての生命を拒絶するかのごとくに静まりかえって、暗黒の世界のようです。ところが朝日が徐々に射し始めると泥の表面が照らされて、薄い紅色からピンク色へと表情を変えていき、そして太陽が顔を出した瞬間、干潟一面が黄金色に輝くのです。…また表面的な美しさとは別に、見えないところで膨大な数の生命が育まれていることも分かってきました。夜は生命が誕生する前の地球の様相というか、まるで創世記のような雰囲気がありますが、日が昇るまでのほんの一時間の間に、蟹やムツゴロウ、鳥などが一斉に姿を見せ、たちまち生命に満ち溢れるのです。…この宿命的なモチーフとの出会いによって、自分の中に蓄えてきたものが一気に溢れ出たといえるでしょう」(アトリエの画家たち(19)牧野宗則」『版画藝術』no.100、阿部出版、1998年、p.155)。
《光る道》は、花火さながらの煌きを滴らせる月明かりの下、無限の闇に延びてゆく水路を描いたもの。自然の崇高さと人間の営みのささやかさの対比が印象的である。    《久遠》は、シリーズ中唯一のモノクローム作品で、牧野自身によれば「有明海」シリーズの中で最も重要な場面を描いたものである。「板ぼかし」と「刷毛ぼかし」という技法を組み合わせることで、何十回も摺ったような効果を7版で出し得たという。一見極めて簡素だが、デリケートな灰色の諧調によって無限に豊かな色彩が暗示されている。
 
作品詳細
素材・技法 木版・紙
素材・技法(英文) Woodcut on paper
サイズ 55×40.5cm ; 49.4×35.3cm
コレクション名  
備考 AP
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