雪山行二氏(横浜美術館館長)講演会「ザ・ヌード-西洋文明の象徴として」
- 名称
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雪山行二氏(横浜美術館館長)講演会「ザ・ヌード-西洋文明の象徴として」
- 会場
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ホール
- 期日
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2008年11月1日(土)15:00~17:00(14:30開場)
- 主催
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長崎県美術館
- 概要
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人間の裸体を表した絵画や彫刻は世界のすべての地域に存在します。しかし、そのなかで、裸体を単にひとつのモティーフとして扱うのではなく、理想的形態にまで高めることによって美術の永遠の主題としたのが古代ギリシャ・ローマ文明であり、それを継承したのがルネサンス以降20世紀に至る西洋文明でした。
この問題を考察した英国の美術史家ケネス・クラークは『ザ・ヌード―裸体芸術論』(1956年刊、邦訳は1971年刊)において、衣服を剥ぎ取られた縮こまって無防備な身体を「裸 naked」、芸術という鎧をまとった均整がとれ、豊かで、自信に満ちた身体を「ヌード nude」として両者を区別し、「ヌード」とは「裸」という物体を理性の力で形態(フォーム)に変換させたものと主張しています。精神的身体という西洋文明特有の二元論に立つこのクラークの説は大変魅力に富んでいますが、一方では、女性の身体(=自然)は作者である男性(=理性)によってのみ芸術に高められるという男性優位の思想に根ざしたものであり、それを生み出した歴史的条件を無視しているとして、批判の的にもなっています。
この講演会では、ベラスケス作《鏡のヴィーナス》、ゴヤ作《裸のマハ》などを例にとりながら、「ヌード」という西洋美術の核心にある問題について考えてみたいと思います。
講師:雪山行二氏(横浜美術館館長)
定員:先着100名 ※聴講無料