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長崎県美術館

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出品履歴

カシ-ノ・デ・マドリードの装飾画の習作 ( 1910年)

Study for the Mural Decoration of the Casino de Madrid 作品詳細

エミリオ・サラ Emilio SALA Y FRANCÉS
作品解説
   本作は、高級社交クラブ、カシーノ・デ・マドリードの「サロン・レアル(王の間)」と呼ばれる大広間を飾る連作画の一場面の下絵である。この連作は、天井をフリーズ状に一周する15点のカンヴァス画によるもので、エミリオ・サラが1909年に注文を受け制作を開始した。しかし彼は翌年、9点を仕上げた時点で世を去り、残りは弟子のセシリオ・プラ(1860-1934)によって完成された。連作のいずれの場面も、古代風の裾の長い衣装を着た若い女性たちが自然風景の中を――しばしば踊りや音楽を奏でながら――行進する姿が表されている。しかし全体の図像プログラムや各場面の具体的な主題については、詳しいことは分かっていない。
当館所蔵の下絵では、風景を背後に壇上を歩く3人の女性と、そこに加わらんとして助けを借りながら壇を登るもう一人の女性が描かれている。この構図は、広間の北東角にサラ自身によって完成されている。下絵と完成作で構図に大きな変化はないが、右下の隅には、上を向く少女の姿が追加されている。下絵の左上に弧を描くように余白があるのは、完成作が曲面状の壁の角に設置されることが計算されているためである。
装飾的性格の作品に秀でたサラは、こうしたアール・ヌーヴォー的な瀟洒な壁画に独自の世界を確立し、スペインの首都にフランスのベル・エポックのエレガンスを伝えた存在として特筆される。本下絵でも、完成作では失われがちな流麗かつ生き生きとしたな筆致に、この画家の真骨頂が窺えよう。

 
展覧会名 会期 会場
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