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長崎県美術館

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無題 ( 2007-08年)

Untitled 出品履歴

マヌエル・フランケロ Manuel FRANQUELO
作品解説
©VEGAP, Madrid & JASPAR, Tokyo, 2022 G2900 マドリードの郊外エル・パルドからマドリード方面を見て描いた作品である。フランケロは驚異的な細密描写によって、クレーンの鉄骨や白く輝く街灯、さらにはビルの一つ一つの窓に至るまで克明に描き分けている。さらに、空気の層によってぼかされた遠景と克明に描かれた近景との対比や、決して描き過ぎることなく完璧に統一された画面構成は、フランケロがスペインを代表するリアリズム画家であることを裏付けている。
フランケロは制作の際に物差しなどの測量機器を使用する。画面の所々に残された直線や十字からは、フランケロがまさに測量技師のように計測しながら描いた様子が伝わってくる。こうした制作過程の痕跡を消すことなくそのまま残しているのは、目の前に広がる風景という客観的な現実だけでなく、自らがその風景を描写しているという現実、つまり自身が描いている行為そのものに対するリアリティを重視しているからに他ならない。作家にとってはむしろ後者の方により重きを置いているからこそ、制作過程の痕跡をあえて残す必要があるのである。フランケロはあくまでも主観的な現実を描いているのだ。
リアリズム画家による細密描写は時として皮相的と言われネガティブなイメージが付きまとう。しかし制作過程までをも取り込んだ主観的な現実を徹底して描くというフランケロの制作態度からは、「画家にとって現実とは何か?」「絵画を描くことの意味とは何か?」など絵画そのものの根本的な問題が浮かび上がり、皮相的として片付けることは到底できない。現代において細密描写によるリアリズムが一つのジャンルとして確立されようとしている背景には、こうした根本的な問題を我々観る側に極めて誠実に問いかけてくることが要因としてあるのではないだろうか。
 
作品詳細
素材・技法 黒とセピアのウォッシュ、鉛筆、シルバーポイント・板
素材・技法(英文) Black and sepia wash, pencil and silverpoint on panel
サイズ 66×75cm
コレクション名  
備考  
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