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長崎県美術館

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茶の上の黄土 ( 1964年)

Ochre on Brown 出品履歴

アントニ・タピエス Antoni TÀPIES
作品解説
© Comissió Tàpies, VEGAP Madrid, JASPAR Tokyo, 2022 G2900 「身体」は、タピエスにとって極めて重要なテーマであった。手足から臀部、性器、全身に至るまで、人体の様々な部分が彼の作品には登場する。
中でも「足」はたびたび取り上げられたモティーフで、最初にまとまった数の作品が制作されたのは1965-66年のこと(例えば《足の形をした物質》1965年、アントニ・タピエス財団、バルセロナ)。これらはいずれも足首から足先までを横から捉え、画面一杯に配したものだ。即物的なタイトル通りの抽象画に見える本作品も、それら後続の作品との構図や配色の類似性から、同じく足を描いた、それも早い時期の作品と考えられる(なお1965-66年に制作されたものは、本作品に比べてより具象性が強くなっている)。
とすると本作品で画面のほとんどを占める「黄土色」は、地面に踏み下ろされた足ということになる。この「足」は抉られ傷つけられているが、力強く大地を踏みしめているようにも見える。タピエスは1967年の文章で「絵画」を様々なものに譬えており、その中に「人生の足跡」や「『止めなさい!』という印に、誰かが机の下で足を蹴っているところ」というのが含まれているのは興味深い(タピエス『実践としての芸術』1970年[田澤耕訳、水声社、1996年、p.122])。ちなみに「足跡」は、タピエスの別な重要テーマである「痕跡」にも関連する意味深いモティーフである。
「足」がタピエスにとっていかなる意味を持っていたのかについては、宗教的な含意も含めて更なる考察が必要だが、少なくとも次のような解釈は可能だろう。すなわち「抗議」の象徴としての足。その抗議の結果として苦痛の刻印を帯びた身体(人間)の象徴としての足。身体の中でも「最下層」であると同時に移動を保証する部位であることから、最も虐げられていながら最も自由な存在としての足。そして地面を踏みしめてそこに生きた痕跡(証し)を残す生命のスタンプのようなものとしての足である。
 
作品詳細
素材・技法 ミクストメディア・カンヴァス
素材・技法(英文) Mixed media on canvas
サイズ 68×50cm
コレクション名 大光コレクション
備考  
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