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ディプティック (赤と灰色) ( 2002年)

Diptych(red and grey) 出品履歴

アントニオ・ムラド Antonio MURADO
作品解説
  ムラドは風景を好んで描く作家である。当初、花びらや葉脈、干上がった土地のひび割れなどモチーフの細部をクローズアップして描いていた。一方、海景、氷景(Icescape)も手掛けているが、画面全体に濛々とした空気が立ち込めているかのように事物が明確に表されていない。彼は作品を制作する際、顔料、油、テレピン、ワックス、ニスなど様々な素材を用いて、モチーフにふさわしい質感を表現しようとしていた。
90年代以降、ムラドの作品に共通する特徴は、描かれた風景の中に人物が登場しないことであろう。そこには静けさに包まれた果てしない風景と地平線がどこまでも広がっている。
「ディプティック」とは、蝶番でつながれた二枚の板、二連板を意味する。この様式は古代ローマ人の筆記具として用いられたのが始まりではあるが、中世には携帯用のイコンとして使用された経緯もある。ムラドはこの二枚のカンヴァスをつなげた「ディプティック」を2001年頃から手がけるようになる。本作品もそのうちの一点であるが、深い赤が塗られた画面と白味の強いグレイが塗られた画面が合わさった大作である。向かって左面は赤く煮え立つ溶岩を、右面は溶けゆく氷河を表しているのであろうか。両者は動と静、熱と冷といった、相反する性質を持っている。モチーフはあくまで自然現象ではあるが、結果として得られた画面は抽象画の体裁を帯びている。

【掲載文献】
Un millón de acres. Antonio Murado, Xunta de Galicia. Consellería de Cultura, 2002, p.57.
 
作品詳細
素材・技法 ワックス、ニス、油彩・カンヴァス
素材・技法(英文)  
サイズ 269×411cm
コレクション名  
備考  
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