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ハエの楽園、あるいはヴァルター・ベンヤミンのポル・ボウでの最期 /El paraíso de las moscas o el último suspiro de Walter Benjamin en Port Bou (26-IX-1940) ( 1999年)

The Paradise of the Flies or the Last Moment of Walter Benjamin in Port Bou 出品履歴

エドゥアルド・アロージョ Eduardo ARROYO
作品解説
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 G2900 ヴァルター・ベンヤミン(1892-1940)は、ドイツ系ユダヤ人の文芸批評家・思想家。彼は1940年9月、ナチスの迫害を逃れ、マルセイユから米国に亡命しようとした。しかしフランス出国ビザを入手できなかったため、非合法にフランスからピレネーを徒歩で越えてフランスと国境を接するスペインの町ポル・ボウへ入り、そこからスペイン・ポルトガルを鉄道で移動してリスボンから米国に出国することになった。しかしスペイン側は、ポル・ボウに辿りついたベンヤミンにスペイン国内の通行許可を与えなかった。ベンヤミン到着のわずか数時間前に出された訓令で、無国籍者のスペイン通過が禁止されたからである。絶望したベンヤミンはその夜、監置されていたホテルで大量のモルヒネを摂取して自死を遂げた。
この悲劇的な出来事を題材とした本作は、ベンヤミンが命を絶った土地、ポル・ボウの風景と、彼の肖像を組み合わせたものである。鮮やかな色面で構成された海辺の風景の上空に、べンヤミンの二つの顔が左右対称に浮かんでいるが、右側のそれには眼鏡にヒビが入っている。ベンヤミンの顔の下に配された物体は、逆さになった黒い乳母車である。画面の縁には、カラシ色の枠と黒いハエが描かれており、額縁にも、鉄などで拵えた立体のハエが取り付けられている。ベンヤミンの眼鏡のヒビは彼の死を暗示しており、逆さまの乳母車もまた、死、あるいは不穏な世界情勢の象徴と思われる。ハエは、腐敗や死を連想させるとともに、規則的に整列する黒々とした姿によって軍隊的な、ひいてはファシズム的な国家権力のイメージを喚起する。かつて自らもフランコ独裁政権下のスペインにおける亡命者であったアロージョは、ここでベンヤミンに追悼の意を示すと同時に、悪しき「ハエの楽園」たるスペインを糾弾しているのである。
 
作品詳細
素材・技法 油彩・布、木、鉄
素材・技法(英文) Oil and cloth, wood iron
サイズ 352×412cm
コレクション名  
備考 ・出品歴 ARCO99(「EL PAIS semanal」のブース)に出品(1999年2月 マドリッド)、「Grandes Obras」(1999年5月18日―9月5日 エステバン・ビセンテ現代美術館、セゴビア)出品、「エドゥアルド・アロージョ」(2002年5月―6月 Kursaal、サン・セバスティアン)出品ほか
・文献 
『Grandes Obras』(エステバン・ビセンテ現代美術館 1999年) p.23 掲載、『エドゥアルド・アロージョ』(Kursaal 2002年)掲載ほか
関連収蔵資料
図書
資料

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