長崎県美術館

コレクション展

椛島勝一の世界

概要

《船》1949年 講談社蔵
会期 2017年01月15日(日) ~ 2017年04月09日(日)
休館日1月23日(月)、2月13日(月)、27日(月)、3月13日(月)
開館時間10:00~20:00(入場は19:30まで)
会場常設展示室 第1・2室

長崎が生んだペン画の神様

大正から昭和中期にかけて活躍した長崎県諫早市出身の挿絵画家・椛島勝一(1888-1965)の回顧展を開催します。当時、ペン画の技術において右に出る者はいないと言われた椛島は、特に帆船や軍艦における精緻かつ迫真的な描写により「船のカバシマ」と呼ばれ、現在に至るまで多くのファンを魅了し続けています。
椛島の名を一躍世に知らしめたのが、雑誌『少年倶楽部』(大日本雄弁会講談社)での仕事でした。
なかでも山中峯太郎が執筆した「敵中横断三百里」のための挿絵は椛島の代表作といえるでしょう。この物語は日露戦争における実話をもとにした日本兵士の英雄伝で、当時のナショナリズムの風潮の中で熱狂的に受け入れられました。また一方で画風をガラリと変え、吹き出し漫画の元祖ともいわれる「正チャンの冒険」の作画を手がけています。大正12年(1923)から『日刊アサヒグラフ』、続いて『朝日新聞』に連載されたこの4コマ漫画は、子供だけではなく大人にも人気を博し、主人公の正チャンがかぶっていた毛糸の帽子が「正チャン帽」と名付けられ、大流行するほど一世を風靡しました。
椛島の作品は徹底的なリアリズムに基づいており、その正確無比な描写は他の追随を許しません。今回の展覧会は、初期から晩年の作品に至るまで、長崎ゆかりの挿絵画家・椛島勝一の芸術を余すところなく紹介するものです。

椛島勝一(かばしま かついち:1888-1965)

長崎県北高来郡諫早村に生まれる。四歳の時に一家で鹿児島に転居し、同地で育った。幼少時に絵に目覚め、独学で絵画を習得。1902年、画家の道を志して鹿児島商業学校を中退し、佐世保造船所などに務めた後上京。博文館の雑誌の挿絵の仕事などを経て朝日新聞に入社。大正12年(1923)に「正チャンの冒険」を『アサヒグラフ』、『朝日新聞』に連載(文:織田小星)し、「正チャン帽」がブームを巻き起こすなど、大好評を博した。同作品は、吹き出しを使った形式の漫画の嚆矢ともされる。大正14年からは講談社の『少年倶楽部』を中心に、ペンによる船の細密画や、軍事冒険小説の挿絵を描き、第二次大戦後に至るまで、人気挿絵画家として一世を風靡した。代表作は「敵中横断三百里」や「吼える密林」等の挿絵。特にペンによる緻密でありながらダイナミックな船の絵には定評があり、「船のカバシマ」との異名を取った。

作品紹介

関連企画

レクチャー「椛島勝一の世界」(コレクション・イン・フォーカス第8回)

日時 2月19日(日)11:00~12:00
会場 講座室
講師 森園 敦(長崎県美術館学芸員)
定員 40名
料金 無料
担当学芸員によるギャラリートーク

日時 1月29日(日)、2月26日(日)、3月26日(日) 各日15:00~
会場 常設展示室
料金 無料(要観覧券)
ワークショップ「ぬり絵で楽しむ椛島勝一の世界&缶バッジ作り」

挿絵画家・椛島勝一さんのイラストぬり絵が楽しめるワークショップです。かわいいキャラクター「正チャン」から超リアルな帆船や動物のイラストまで、気軽に「ぬり絵」してみませんか。子ども向けから大人向けまで数種類のぬり絵があります。また、ぬり絵を生かした缶バッジ作りのコーナーもあります。

日時 1月28日(土)、2月12日(日)、3月25日(土)、26日(日)各日10:30~16:00(当日随時受付、15:30最終受付)
会場 アトリエ
対象 幼児~一般 ※小学生以下は保護者同伴
申込 当日受付
参加料 ぬり絵無料、缶バッジ100円/1個

基本情報

観覧料
一般400(320)円
大学生・70歳以上300(240)円
小中高生200(160)円

・県内在住の小中学生無料。
・( )内は15名以上の団体割引料金。
・学校行事の一環として、県内の小・中・高・特別支援学校生が利用する場合は、引率の教員を含め、無料。
・障害者手帳保持者及び介護者1名は無料。
・「デンマーク・デザイン」「夢の美術館―めぐりあう名画たち―」のチケットでも観覧できます(会期中に限る)。

主催等
主催長崎県美術館
後援長崎県、長崎県教育委員会、長崎市教育委員会、諫早市教育委員会、
長崎県立長崎図書館、長崎市立図書館、諫早市立図書館、長崎県書店商業組合、
長崎新聞社、西日本新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞西部本社、
NHK長崎放送局、NBC長崎放送、KTNテレビ長崎、NCC長崎文化放送、
NIB長崎国際テレビ、長崎ケーブルメディア、エフエム長崎
学術協力弥生美術館
特別協力講談社
助成公益財団法人 花王芸術・科学財団