長崎県美術館

コレクション展

企画展 広島・長崎県美術館平和発信事業 竹田信平 アンチモニュメント

概要

β崩壊展展示風景(原爆の図丸木美術館、2014)
会期 2015年08月01日(土) ~ 2015年09月13日(日)
開館時間10:00~20:00(最終入場19:30)
休館日8月10日(月)
会場常設展示室 第1・2・4室

2015年は戦後70年、被爆70年にあたります。この節目となる年を迎えるにあたり、現在、メキシコのティファナとドイツのデュッセルドルフを拠点に活動を展開する竹田信平(たけだ・しんぺい/1978年大阪府生まれ)の仕事を紹介します。

竹田は、2006年から南米・北米に移民した被爆者の証言の記録を開始しました。その成果は、2010年に公開された長編ドキュメンタリー映画「ヒロシマ・ナガサキダウンロード」、そして2012年に国連軍縮局と共同で開設したビデオ・ウェブサイト「Hiroshima Nagasaki Download: Memories from the Americas」として公表されています。

同時に、竹田は、造形作家としての自らの制作にも被爆者の証言を取り入れました。しかしそれは、文字や生の音声としてではなく、データ化、数値化され抽象化された被爆者たちの「声紋」という形式をとっています。被爆者たちが語る彼らの経験は、竹田の想像力が及ぶ範囲をはるかに超えた内容と風圧で彼を圧倒しました。竹田にとって先ず必要なことは、その凄まじい風圧に吹き飛ばされることなく、彼らの声を受けとめることでした。彼は、被爆者たちの心情に単に同調するのではなく、それに耐えうる自らの身体、精神を練り上げるために、被爆者たちの「声紋」を無数になぞり、書写することを繰り返します。その過程で生み出された一連の作品は「α(アルファ)崩壊」と名付けられています。

その後、新たな展開として制作されたのが「β(ベータ)崩壊」のシリーズです。被爆者たちの声紋を書写する過程で、竹田は、そこに現象する「一本の線」の重要性に気づきます。彼にとって、それは過去から未来へと持続する「時間」そのものを示すものでした。あるいは、それは「記憶」と言い換えられても良いかもしれません。そして、メキシコの先住民の伝統工芸である織物に使用される綿の縦糸を、その「時間(記憶)」に見立て、無数の「時間(記憶)」の束によって成立する作品を生み出すに至ります。一本一本の綿糸は容易に切ることが可能です。それは、ひとつの「時間(記憶)」の抹消を意味します。しかし、無数の綿糸全体を一つの大きな「時間」ととらえ、それらを横断するように、一つの「記憶」が織り込まれているとすればどうでしょう。孤立した「時間(記憶)」と集合体としての「時間(記憶)」。竹田の作品はまさに、記憶の共有化、そしてその継承という問題を我々に問いかけるものであると言えるでしょう。

「アンチモニュメント」と題された今回の展覧会では、「β崩壊」から「α崩壊」を経て「ヒロシマ・ナガサキダウンロード」へと、時間軸を逆にたどりながら竹田の仕事をご紹介します。「モニュメント」とはまた異なる仕方で記憶を共有・継承することの可能性、あるいはその不可能性について、来場者の皆様とともに考える機会となることを願っています。

竹田信平

1978年11月15日大阪生まれ。アメリカ、デューク大学卒業。現在メキシコおよびデュッセルドルフを拠点として活動する。主に映画、写真、インスタレーション、パブリックアート、コミュニティープロジェクト等を中心に2001年から様々なジャンルで芸術表現を展開。同時期の2001年には、タイ、コロンビア、アメリカの難民の子供に写真技術を教える非営利団体THE AJA PROJECT (http://www.ajaproject.org)を創設し、現在でもクリエイティブアドバイザーとして関わる。

関連企画

さるくツアー「モニュメントからアンチモニュメントへ」 要事前申込

記憶の継承はいかにして可能か? 爆心地から展覧会会場である長崎県美術館まで、「モニュメント」をキーワードに「さるくツアー」を開催します。ガイド役は作家の竹田信平氏と文化人類学者の今福龍太氏。皆様の参加をお待ちしています。(協力:国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館)

日時 8月13日(木)13:00~18:00(13:00~長崎市内各所、16:30~長崎県美術館)
集合場所 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館、地下2階交流ラウンジ(長崎市平野町7番8号)
ガイド 竹田信平氏(作家)、今福龍太氏(文化人類学者、東京外国語大学大学院教授)
コース 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館→平和公園周辺→長崎県美術館(展示鑑賞および両ガイドによる対談 ※詳細は次項参照)
定員 先着30名(定員となり次第、申込を締切ます)
参加費 無料(ただし、本展観覧券が必要)
申込方法 (1)氏名(1通につき2名様まで申込可)、(2)年齢、(3)住所、(4)電話番号(携帯など必ず連絡が取れる番号を記入)を明記のうえ、ハガキまたはファックスにてお申込みください。

【宛先】〒850-0862 長崎市出島町2-1 
長崎県美術館内「さるくツアー」係
Fax. 095-833-2115
※ファックスでお申込みの際は、送信後、必ず電話等で着信の確認を行ってください。
※お申込み後、一週間を経過しても美術館からの連絡が無い場合は、お電話ください。
※申込書の個人情報は、本関連企画に関する事項にのみ使用されます。
さるくツアー「モニュメントからアンチモニュメントへ」展示鑑賞および両ガイドによる対談

さるくツアーの最後に両ガイドによる対談を美術館常設展示室内で開催します。(申込不要)

日時 8月13日(木)16:30~18:00
会場 常設展示室(観覧券をお持ちの方はどたなでも参加いただけます。)
講師 竹田信平氏(作家)、今福龍太氏(文化人類学者、東京外国語大学大学院教授)
オープニングセレモニー

本展作家、竹田信平氏と当館館長の米田耕司がご挨拶します。
セレモニー終了後、作家によるギャラリートークを開催予定です。

日時 8月1日(土)10:00~10:30
会場 常設展示室(観覧券をお持ちの方はどたなでも参加いただけます。)

基本情報

観覧料
一般400円(320円)
大学生・70歳以上300円(240円)
小中高生200円(160円)

◎( )内は15名以上の団体料金。
◎障害者手帳保持者及び介護者1名まで無料。
◎「瀬戸内寂聴展」のチケットでも観覧できます(会期中に限る)。

主催等
主催広島・長崎県美術館平和発信事業実行委員会(広島県立美術館、長崎県美術館、広島平和記念資料館、長崎原爆資料館、広島県原爆被害者団体協議会・被爆を語り継ぐ会、長崎原爆被災者協議会・被爆を語り継ぐ会、広島芸術学会、ひろしま文化振興財団)
後援長崎県、長崎市、長崎県教育委員会、長崎市教育委員会、長崎県立長崎図書館、長崎市立図書館、NBC長崎放送、KTNテレビ長崎、NCC長崎文化放送、NIB長崎国際テレビ、長崎新聞社、西日本新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞西部本社、日本経済新聞 長崎支局、長崎ケーブルメディア、エフエム長崎
助成平成27年度 文化庁 地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業