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長崎県美術館

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長崎の山々 ( 1964(昭和39)年)

Mountains in Nagasaki 出品履歴

野口彌太郎 Yataro NOGUCHI
作品解説
  本作品は、戦後野口が何度も取り組んだ長崎風景画の一つである。野口が最初に長崎に写生旅行をしに訪れたのが1947年と言われている。両親が終戦後故郷の諫早に戻りその見舞いをするために実家を訪れたのだが、それと同時に原爆後の長崎が気になり、立ち寄ったのである。すでに復興期に入っていた長崎であったが、その風景は昔と変わらず野口にとって魅力的なものに映ったのであろう。この後、1975年までの約30年間、野口は何十回となく写生のために長崎を訪れた。その際には長崎市だけではなく、諫早、雲仙、佐世保など長崎県下の風景を題材に制作した。
野口の画風は1960年からの二度目の滞欧をきっかけに、色彩はより明るくなり、筆触はより単純化される。本作品でも薄塗りのマティエールが画面全体を覆っており、下書きを行わず一気呵成に描き上げていった画家の芸術的エネルギーに満ちた作品に仕上がっている。
本作品の着想源について野口は、「長崎の港を巡航船で回ったが、いつも陸からみる角度と異なり港を取り巻く連山が見事に浮き出して見え、山山の遠近の変化にひかれる。全く墨画のようである」と述べている。ここでは海辺に迫る山々を背景に、画面左の山の中腹には大浦天主堂、またその右斜め手前には旧香港上海銀行が確認できる。夕刻を描いたのだろうか。長崎の街全体が夕日を浴びて紫色に輝いているようだ。人物が描かれていない画面の中で、煙を吐きながら帰航するぽんぽん蒸気船の存在がひときわ大きく感じられ、温かみを伴った情趣あふれる風景へと鑑賞者をいざなう。
 
作品詳細
素材・技法 油彩・カンヴァス 
素材・技法(英文) Oil on canvas
サイズ 97.8×195.6 cm
コレクション名  
備考 第3回国際形象展(1964、日本橋・三越)出品作(旧題《長崎風景》)
(保険評価額は、2014年度・諫早市への貸出時のもの)

額寸:115.0x214.0x9.0cm
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資料

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