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東洋の幻想

Fantasy of the Orient 出品履歴

マリアノ・フォルトゥーニ Mariano FORTUNY Y MARSAL
作品解説
  日本の着物を着たと思しき女性たちが、黄金の傘や扇を手に、小川の岸辺の木陰でくつろいでいる。フォルトゥーニは、本作やプラド美術館の《日本風のサロンにいる画家の子供たち》(1874年)などが示すように、スペインの画家の中では珍しく日本・東洋文化に着想を得た作品を残している。
本作では、人物の髪型、衣装や持ち物などに日本的というよりは漠然と東洋的な要素が見て取れるが、決して作品の造形原理に日本・東洋美術のそれが応用されたものではない。むしろ、遠くの見知らぬ異国である日本を一種の神話的アルカディアとして捉え、そこに遊ぶ女性たちを配した、異国趣味風のフェート・ギャラント(雅宴画=田園風景の中で典雅な男女が戯れるさまを描いた祝祭的な風俗画。18世紀フランスのロココ画家たちによって生み出された)と見做すことが出来よう。
こうした試みは、19世紀中後半のオリエンタリスムの流行に即して理解される。とりわけバルビゾン派のナルシス・ディアズ・ド・ラ・ペーニャの作品には、《後宮の女達》(山寺後藤美術館、山形)など、中東のハーレムの女性を鬱蒼とした森に配したものが多数見受けられ、異国風に着飾った女性をヨーロッパ風の風景に組み込んだ作品という点で、フォルトゥーニの先例を成している。パリを拠点の一つとして国際的に活躍したフォルトゥーニは、こうした風景画の潮流に敏感に反応し、中東風のアルカディアを日本風のそれに置き換えたのではないだろうか。
フォルトゥーニは須磨彌吉郎がとりわけ好んだ画家の一人であった。マドリードでの彼のコレクションには、フォルトゥーニに帰属される作品が200点以上集められていた。
 
作品詳細
素材・技法 油彩・カンヴァス
素材・技法(英文) Oil on canvas
サイズ 68×96cm
コレクション名 須磨コレクション
備考 須磨No.30
関連収蔵資料
図書
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