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長崎県美術館

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樹骨 ( 1960(昭和35)年)

Bare Trees 出品履歴

池野清 Kiyoshi IKENO
作品解説
  自由美術協会創立会員の画家、今井繁三郎に言われた「一本の木だけでも画は出来る」という言葉を手がかりの一つとして制作されたとされる(阿野露団『長崎の肖像―長崎派の美術家列伝』形文社、1995年、p.317)本作品では、色面のみで覆われた背景に大きさの異なる三本の樹が描かれている。中央の一本の樹は、両側の二本の樹に比べ、やや後方に小さく表されることによって画面にかすかな遠近感が生まれている。同年に描かれた《樹》(長崎県美術館)同様、葉のない枝や幹は細く尖り、凛とした姿でまっすぐ立っている。色彩の数は少なく、同系色の微妙な違いと盛り上がった絵の具層により背景と樹とを見分けることができる。色彩と硬いマティエールにより樹の寒々とした質感が強調されている。原爆症に体が冒され、死へと向かう中描いた心の叫びともいえる作品である。
本作品は池野の絶筆である。題名をつけられることのないまま2点の作品が自宅に残されていたが、弟で画家の池野巖により「樹骨」「木立」と名付けられ、1960年9月、第28回独立展に遺作として出品された。二本の樹が描かれた《木立》もまた現在は長崎県美術館に所蔵されている。
長崎出身の作家、佐多稲子は友人の池野が亡くなったことを知り、彼をモデルに短編「色のない画」(『新日本文学』1961年3月号)を執筆した。その後、長編として『樹影』(講談社、1972年)が出版されたが、同書によると、池野は入院前の二週間で《樹骨》と《木立》を描いたという。
 
作品詳細
素材・技法 油彩・カンヴァス
素材・技法(英文) Oil on canvas
サイズ 116.8×91.4 cm
コレクション名  
備考 第28回独立展遺作出品
関連収蔵資料
図書
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