スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた
企画展概要
会期 | 2023年04月08日(土) ~ 2023年06月11日(日) |
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前期:4月8日(土)~5月7日(日) 後期:5月9日(火)~6月11日(日) ※会期中、一部作品の展示替えがあります。 | |
開館時間 | 10:00~20:00(最終入場19:30) |
休館日 | 4月10日(月)・24日(月)、5月8日(月)・22日(月) |
会場 | 長崎県美術館 企画展示室 |
国立西洋美術館企画、200点以上のスペインにまつわる版画作品が一堂に!
異国情緒、豊饒な芸術文化、歴史的建造物の数々…。みなさんはスペインという国にどのような印象を抱くでしょうか。本展はスペインに関わる版画制作の史的展開を、17世紀初頭から20世紀後半までの長大なスパンで概観する、これまでにない企画です。写し伝えることのできる版画という芸術メディアを用いて拡がっていったスペインのイメージについて、200点を超える作品から探ります。ゴヤやフォルトゥーニ、ピカソ、ミロ、ダリら巨匠たちのスペイン版画の系譜を辿ることに加え、それらの影響下に英仏で制作された作品も多数紹介します。
本展の出品作は、国立西洋美術館と長崎県美術館所蔵のスペイン美術コレクションを中心にすべて国内で所蔵されている作品であり、日本におけるスペイン美術の受容と豊かなコレクション形成の様相も浮き彫りになることでしょう。
【展示構成】
1章 伝統への照射
18世紀以後、スペインにおいても自国の歴史や過去の再評価が始まり、セルバンテスの『ドン・キホーテ』やベラスケスの作品が古典としての地位を確立します。これら黄金世紀の二つの金字塔に対し、後世各国の芸術家たちがどのように挑み、どのように表現していったのか。最初に『ドン・キホーテ』の挿絵の伝統について、次いでベラスケスに基づきゴヤとマネが制作した版画を紹介します。
2章 スペインの「発見」
ロマン主義の流行下、フランスやイギリスからスペインを訪れる旅行客が急増し、スペインの文化文物、風景が盛んに紹介され、エキゾチックな異国としてのイメージが定着していきました。ここでは、19世紀初めの挿絵入り旅行記に始まり、同世紀の外国人がスペインのどのような側面に惹かれ、造形化していったのかを、版画に加えポスターや写真、新聞挿絵など様々な資料を交えて紹介します。
3章 闘牛、生と死の祭典
スペインの闘牛は18世紀後半に近代的な形態や理論が確立され、生と死が隣り合わせにある緊張とドラマから、賛否両論を巻き起こしながらも長きにわたって大衆の耳目を集めてきました。ここではゴヤとピカソ、アントニオ・サウラによる闘牛主題の作例を中心に紹介します。
4章 19世紀カタルーニャにおける革新
カタルーニャ生まれで、19世紀半ばの欧米で絶大な人気を誇った画家、マリアーノ・フォルトゥーニ。スペイン版画史においてゴヤの影響を脱した彼の版画にまずは焦点を当てます。19世紀末にはブルジョワ層のための新たな芸術が勃興、芸術カフェ「四匹の猫」のような場所が登場しました。本章後半では、若きピカソを中心にバルセロナに集い、更なる活躍の場を求めパリに旅立った芸術家たちの作品を紹介します。
5章 ゴヤを超えて:スペイン20世紀美術の水脈を探る
20世紀のスペインはピカソ、ミロ、ダリ、タピエスなど美術史に輝く巨匠を幾人も輩出しました。彼らがどのようにして自国の伝統と向き合い、自らの制作に取り込み超克していったのかを2つの観点から検証します。第一は「エスパーニャ・ネグラ」と呼ばれる、国家的・民族的なアイデンティティを模索する思潮下、近代化に立ち遅れたスペインの姿が再度注目を浴びた過程を紹介します。次いで「叫びと抵抗:20世紀スペインにおける政治と美術」と題し、 内戦とフランコ独裁という政治的困難の中、芸術家たちがどのように民衆に寄り添い、彼らを鼓舞し自由を求めていったのかを辿ります。
6章 日本とスペイン
戦後の日本人がどのようにして同時代のスペイン美術に親しんでいったのか、その受容過程を版画作品を通じて振り返ります。日本の芸術家との交流から生まれたものや、日本での展覧会などで紹介されたもの、 国内で最初に収蔵された作品、また日本でその作家が知られる端緒を築いた作品などを中心に紹介します。
作品紹介
フランシスコ・デ・ゴヤ 《理性の眠りは怪物を生む》 『ロス・カプリーチョス』第43番、 1797-99年、エッチング、アクアティント、長崎県美術館
ギュスターヴ・ドレ原画、エリオドール・ピサン版刻「彼の頭は本のなかで読んだもろもろのことからなる幻想でいっぱいになってしまった」『ドン・キホーテ』(第1巻)、1863年刊、木口木版、国立西洋美術館研究資料センター
オノレ・ドーミエ《山中のドン・キホーテ》1850年頃、油彩、石橋財団 アーティゾン美術館
フランシスコ・デ・ゴヤ《バルタサール・カルロス王太子騎馬像(ベラスケスに基づく)》1778年、エッチング、ドライポイント、国立西洋美術館
E・ウェーバー版刻《ファニー・エルスラー十八番の踊り》1840年頃、リトグラフ、兵庫県立芸術文化センター 薄井憲二バレエ・コレクション
エドゥアール・マネ《ロラ・ド・ヴァランス》1863年、エッチング、アクアティント、国立西洋美術館
ギュスターヴ・クールベ《もの思うジプシー女》1869年、油彩/カンヴァス、国立西洋美術館 松方コレクション
フランシスコ・デ・ゴヤ《マドリード闘牛場でフアニート・アピニャーニが見せた敏捷さと大胆さ》『闘牛技』第20番 1816年、エッチング、アクアティント、長崎県美術館
マリアーノ・フォルトゥーニ《隠遁者》1869年(1878年)、エッチング、アクアティント、国立西洋美術館
アドリア・グアル《オルフェオ・カタラ合唱団のポスター》1904年、カラー・リトグラフ、国立西洋美術館
ラモン・ピチョット《2人の少女》1906年頃、エッチング、アクアティント、プぺ法による着彩、国立西洋美術館
ホセ・グティエレス・ソラーナ《腕を組んで踊る仮面たち》1932-33年頃(1943年以前)、エッチング、長崎県美術館
基本情報
観覧料
一般 | 1,200(1,000)円 |
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大学生・70歳以上 | 1,000(800)円 |
高校生以下 | 無料 |
※( )内は前売りおよび15名以上の団体割引料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、障害福祉サービス受給者証、地域相談支援受給者証、特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)医療受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証の提示者および介護者1名は5割減額
※会期中、本展観覧券でコレクション展にも入場できます。
前売券取扱い店
■電子チケット ※前売券販売期間:2月18日(土)~4月7日(金)
チケットぴあ(Pコード686-390)
ローソンチケット(Lコード81968)
セブンチケット(セブン-イレブン)
CNプレイガイド(ファミリーマート)
■店頭販売 ※前売券販売期間:3月上旬~4月7日(金)
好文堂書店
紀伊國屋書店 長崎店
メトロ書店 長崎本店
くさの書店チトセピア店
S東美
長崎県美術館
主催等
主催 | 長崎県、長崎県美術館、国立西洋美術館 |
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後援 | スペイン大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京、在福岡スペイン国名誉領事館、長崎市、長崎県教育委員会、長崎市教育委員会、長崎新聞社、西日本新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞西部本社、NHK長崎放送局、NBC長崎放送、KTNテレビ長崎、NCC長崎文化放送、NIB長崎国際テレビ、長崎ケーブルメディア、エフエム長崎 |
助成 | スペイン・ヨーロッパ研究所(CEEH)、スペイン文化活動公社(AC/E) |
協力 | ヤマト運輸 |