長崎県美術館

企画展

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 世界文化遺産登録記念 クアトロ・ラガッツィ 桃山の夢とまぼろし ―杉本博司と天正少年使節が見たヨーロッパ

企画展概要

杉本博司《パンテオン、ローマ》2015年 ゼラチン・シルバー・プリント
©️Hiroshi Sugimoto, Courtesy of Gallery Koyanagi
会期 2018年11月23日(金・祝) ~ 2019年01月27日(日)
   ※会期中、杉本作品を除く一部作品・資料の展示替えがあります。
 前期:12月24日(月・振)まで  後期:12月27日(木)から
開館時間10:00~20:00(最終入場19:30)
※1月2日(水)、3日(木)は18:00閉館(最終入場17:30)
休室日毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、
12月26日(水)、12月29日(土)~1月1日(元日)
※12月3日(月)、17日(月)、26日(水)、1月7日(月)、21日(月)は、本展以外は開館。
会場企画展示室

国際的に活躍する現代美術家の杉本博司は、2015年にイタリアのヴィチェンツァにあるオリンピコ劇場を訪れた際、天正少年使節が描かれた16世紀末の壁画と出会います。イエズス会主導のもと九州のキリシタン大名がヨーロッパに派遣した少年たちは、日本における布教の果実としてポルトガル、スペイン、イタリアを訪れ、フェリペ二世や有力諸侯、そしてローマ教皇に拝謁し、本場のルネサンスをリアルタイムで目撃しました。そしてその旅の途上、この劇場にも立ち寄っていたのです。この出会いをきっかけにイタリアでの使節の足取りを調べた杉本は、自分が既に少年たちが訪れた幾つかの場所を撮影していたことを知り、以後は意識的に彼らの足跡を辿って撮影を続けます。それは天正少年使節の足跡をめぐる旅であると同時に、日本と西洋を往還してきた自身の精神の出自をたずねる旅ともなりました。
 本展は、杉本によるこの天正少年使節関連の近作群(「海景」シリーズを含め全28点)を、使節関連の貴重な史料や同時代の南蛮美術、キリシタン美術等(全58点)と共に展観するものです。無限に豊かな階調と細部を持つ杉本の大型作品と、長崎の「岬の教会」を描いた《南蛮渡来風俗図屏風》(公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館)やローマのジェズ教会が保管する3点の日本殉教図を始めとする貴重な作品・史料との対話をぜひご覧下さい。
 長崎県美術館は、使節が1582年に出航し、8年後の1590年に帰還した地・長崎港を望む地に建っています。まさにその場所において杉本と少年たちのまなざしを400年の時を越えて重なり合わせる本展は、近世の幕開けに起きた東西の文化衝撃の鮮烈なありようを見つめ直すまたとない機会となるはずです。

■天正遣欧少年使節とは
1579年に来日したイエズス会巡察師アレッサンドロ・ヴァリニャーノは、日本での布教の成果をカトリック世界に示して今後の支援を得ることと西洋世界での見聞を日本に伝えさせることを目的として、日本人使節団の欧州派遣を企画。使節には有馬(現・長崎県南島原市)のセミナリオ(ヴァリニャーノが設置した司祭育成のための神学校)の1、2期生から4人の少年たち(伊東マンショ、千々石ミゲル、原マルチノ、中浦ジュリアン)が選ばれ、1582年2月に長崎を出港した。一行は1584年8月にリスボンに到着、スペインを経て翌年3月にイタリアに上陸し5か月を同地で過ごす。ヴァチカンではローマ教皇に謁見、この出来事は欧州中に喧伝された。1586年4月にリスボンを出港した一行は1590年7月に長崎に帰還するが、不在の間に日本のキリスト教をめぐる状況は一変。4人は翌年イエズス会に入会し、棄教したミゲルを除く3人が1608年に司祭となるも、やがて幕府の禁教、弾圧政策の中で病死、国外追放、殉教という運命を辿った。
※「クアトロ・ラガッツィ」とは、イタリア語で「四人の少年」の意。西洋美術史研究者の故・若桑みどり氏の大著『クアトロ・ラガッツィ─天正少年使節と世界帝国』(集英社、2003年・第31回大佛次郎賞)の書名に因むものです。


天国の門ー日本と西欧の十字路
2015年の春、私は生涯の仕事として取り組んできた劇場の撮影のため、ヨーロッパ各地を巡っていた。私はヨーロッパのオペラ劇場の最古の姿を今に留める、アンドレア・パラディオ設計になるテアトロ・オリンピコを訪れた。ヴェネト地方のヴィチェンツァにあるこの劇場の内部は、無数のギリシャ風彫像で装飾され、ロビーにも美しいフレスコ画が天井回りに描かれていた。劇場の支配人は私にこのフレスコ画の一面を指差し、この絵は1585年の劇場開館の年に、日本からの使節がローマへの途路、ここに立ち寄って歓迎を受けた場面を描いたものだと説明された。よく見ると日本人らしき4人が最前列に描かれている。私はこの4人が天正遣欧少年使節であることを知った。

俄然、私は少年使節のイタリアでの足跡に興味を覚え、その足取りを探ってみると、リボルノから上陸しピサからフローレンス、シエナを経てローマへ、その後アッシジからベニスへと向かっている。私はローマのパンテオン神殿もピサの斜塔もシエナの大聖堂も撮影している。これらの建物は少年使節が来た時にはすでにあった建物だ。私は偶然にも少年達が見たその建物を私も自分の眼で今見ているのだということに気が付いた。私は遥かな時代の彼方から声を聞いたような気がした。「私達が見たこのヨーロッパの風景を、今一度あなたにも見てもらいたい」という声を。その声は冥界からの声なのか私の心の声なのか、どこかで響き合い、木霊となって聞こえてきた。

私は今まで偶然にも辿った少年使節の足跡に加え、意図的にさらにその足跡を尋ね撮影を続けることにした、偶然が必然をうながしたのだ。400年以上の歳月が過ぎ去った今、どこまで当時の姿が再現できるかは不明だ、しかし私は人気の無い満月の下の深夜のパンテオン、閉館中の城館ヴィラファルネーゼの螺旋階段室、夜明け前のフィレンツェ大聖堂、そして今は博物館に展示されている初期ルネッサンスの名品「天国の門」を、休館日に人の気配無しに撮影することに成功した。

ローマ法王グレゴリウス13世は、天正少年使節をキリスト生誕時に東方から博士が来訪してキリストを礼拝した秘跡の再来として迎えた。日本人が初めて知る西洋、そして西洋人が初めて知る日本。私の血の中には四百数十年前の双方の驚きが、未整理のままに流れている。

私は私の精神の出自を訪ねて、目視確認の為の旅をまとめ、ここに展覧会としてお披露目する。
                                            杉本博司


*杉本作品は、全てゼラチン・シルバー・プリント ©Hiroshi Sugimoto, Courtesy of Gallery Koyanagi

杉本博司

1948年東京都台東区生まれ。立教大学経済学部を卒業後に渡米。ロサンジェルスで写真を学び、1974年にニューヨークに移る。代表作に「ジオラマ」「劇場」(1975年-)、「海景」(1980年-)、「建築」(1997年-)、「放電場」(2006年-)等のシリーズがある。厳密なコンセプトに基づき8×10”の大判カメラで撮影された精緻な作品は世界中の美術館に収蔵されている。2008年には建築設計事務所「新素材研究所」を設立。代表的な仕事にIZU PHOTO MUSEUM(静岡、2009年)や熱海のMOA美術館(リニューアル、2017年)。2009年には小田原文化財団を設立。『杉本文楽 女殺油地獄』(2017年)等伝統芸能の構成・演出も手掛ける。2017年10月には多岐にわたる仕事の集大成ともいうべき「小田原文化財団 江之浦測候所」が小田原にオープンした。1988年毎日芸術賞、2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞。2010年秋の紫綬褒章、2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ章受章。2017年文化功労者。

作品紹介

関連企画

杉本博司×松原知生 「杉本博司・イタリア・天正少年使節」

杉本博司氏と気鋭のイタリア美術史研究者・松原知生氏が、杉本作品を軸にイタリアの建築や美術、天正少年使節をめぐって語り合います。

出演 杉本博司(現代美術作家)、松原知生(西南学院大学教授)
日時 11月24日(土)11:00~12:30(開場10:30)
会場 ホール
定員 100名(先着順)
料金 無料(要本展観覧券)
学芸員によるギャラリートーク

日時 12月1日(土)、15日(土)、22日(土)、1月12日(土)14:30~
会場 企画展示室 
料金 無料(要本展観覧券)
活版印刷でクリスマスカードをつくろう

日本で初めて活版印刷を行なったのは天正遣欧使節に随行した諫早出身のコンスタンチノ・ドラードでした。使節がヨーロッパから持ち帰った活版印刷機を使い、南島原の加津佐町で教理書などの印刷を行なったドラードにちなんで、教会の写真や聖歌などを印刷してクリスマスカードを作ります。

日時 12月1日(土)16:30~19:00
12月2日(日)10:30~12:00、13:30~16:00
会場 アトリエ
講師 中川たくま(ブルームーンデザイン事務所)
受付 当日随時 ※最終受付は各回終了の30分前
対象 子どもから大人まで ※小学生以下は保護者同伴
参加費 100円
視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ <事前申込制>

視覚障害者のナビゲートのもと、見える人と見えない人とが「対話」を通して一緒に作品を鑑賞します。障害の有無に関わらず、どなたでも参加いただけます。

「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」とは
障害の有無にかかわらず、多様な背景を持つ人が集まり、ことばを交わしながら一緒に美術を鑑賞するワークショップです。さまざまな視点を持ち寄ることで、一人では出会えない新しい美術の楽しみ方を発見できるはず。誰もが気軽に美術館を訪れて、感じていることや印象、経験、考えを自由に語り合う、そんな美術鑑賞のスタイルを目指しています。

日時 12月22日(土)10:30~12:30
会場 企画展示室
講師 「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」
代表・林建太、鄭晶晶、中川美枝子、分部史織
定員 14名
参加費 無料(要本展観覧券)
申込締切 12月9日(日)必着
申込方法 参加希望の①ワークショップ名、参加者全員の②氏名(フリガナ)③性別 ④年齢 ⑤郵便番号 ⑥住所 ⑦電話番号を明記の上、ハガキまたはEメールにてお申し込みください。「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」の申込時には、⑧障害の有無と種別、盲導犬や付き添い者の有無 ⑨参加動機も明記ください。
※応募多数の場合は抽選となります。
※結果は当選者にのみ、開催日の10日前までに通知ハガキを発送致します。
宛 先|〒850-0862 長崎市出島町2-1 
「長崎県美術館杉本博司展ワークショップ」係
<メール>workshop-01@nagasaki-museum.jp
銀塩写真による撮影と現像体験 <事前申込制>

現在、多くの写真が撮影から現像までデジタル処理で作られる中、杉本博司氏は昔ながらの銀塩写真にこだわり作品を制作しています。その銀塩写真を撮影から現像まで体験できるワークショップです。写真は白黒写真です。

日時 撮影: 1月12日(土)10:30~12:30
現像体験: 1月13日(日)10:30~12:30、13:30~16:30
会場 アトリエ(撮影は屋外 ※雨天時は美術館内)
講師 濱本政春(スタジオ・アートアイ代表)
対象 一般(高校生以上)
定員 10名
参加費 2,000円(材料費)
申込締切 12月15日(土)必着
備考 35mmフィルム式カメラをお持ちでない方は美術館にて貸出します。
申込方法 参加希望の①ワークショップ名、参加者全員の②氏名(フリガナ)③性別 ④年齢 ⑤郵便番号 ⑥住所 ⑦電話番号を明記の上、ハガキまたはEメールにてお申し込みください。
※応募多数の場合は抽選となります。
※結果は当選者にのみ、開催日の10日前までに通知ハガキを発送致します。
宛 先|〒850-0862 長崎市出島町2-1 
「長崎県美術館杉本博司展ワークショップ」係
<メール>workshop-01@nagasaki-museum.jp

基本情報

観覧料
一般1,200(1,000)円
大学生・70歳以上1,000(800)円
高校生以下無料

※( )内は前売りおよび15名以上の団体割引料金。
※前売券の販売は11月22日(木)まで。
※障害者手帳保持者及び介護者1名までは5割減額

前売券取扱い店

チケットぴあ(Pコード769-349)[浜屋プレイガイド他]、ローソンチケット(Lコード84352)、CNプレイガイド(ファミリーマート他)、セブン-イレブン(http://7ticket.jp)、長崎県美術館

※電子チケットは、10月6日(土)より販売開始
※長崎県美術館は、11月上旬より販売開始予定

2回券

一般       1,700円
大学生・70歳以上 1,400円

※前期(~12月24日)と後期(12月27日~)の期間中に1回ずつ使用可能。
※2回券の販売は、12月24日(月・振)まで
※2回券は、前・後期各1回ずつコレクション展に入場可能

【2回券取扱店】
チケットぴあ(Pコード769-349)[浜屋プレイガイド他]、ローソンチケット(Lコード84352)、CNプレイガイド(ファミリーマート他)、セブン-イレブン(http://7ticket.jp)、長崎県美術館

※電子チケットは、10月6日(土)より販売開始
※長崎県美術館は、11月上旬より販売開始予定

主催等
主催長崎県、長崎県美術館
協力カトリック長崎大司教区、公益財団法人小田原文化財団、ギャラリー小柳
助成一般財団法人地域創造、公益財団法人 花王芸術・科学財団
後援イタリア大使館、駐日ローマ法王庁大使館、長崎市、長崎県教育委員会、長崎市教育委員会、長崎県立長崎図書館、長崎市立図書館、長崎新聞社、西日本新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞西部本社、NBC長崎放送、KTNテレビ長崎、NCC長崎文化放送、NIB長崎国際テレビ、長崎ケーブルメディア、エフエム長崎